坊守(おくり)として知っておくべき心得
お寺または坊守は、世間から『こういうものだろう』というイメージを
持たれることが多いです。
(例)「坊守は、境内の草むしりをしているのが当たり前だ」
「花道・茶道・着付けができるはずだ」
など。
そのイメージが崩れると不満を抱かれたり、信頼を失うことに繋がる可能性があります。
そうならないために、檀家さんと上手くお付き合いしていくための、あるいは
寺業を営んでいくうえの最低限の心得を挙げていきます。
※私はまだ完全にお寺に入ったわけではないので、お義母さんの話を聞いたうえで
ご紹介します。
①噂話をしないこと
女性は噂話が大好きです。
また、必ずご近所さんにも歩くスピーカーがいらっしゃいます。
そのため、「私の味方でいてくれるであろう坊守」または
「みんなと平等に接してくれるであろう坊守」が、誰かの噂話をしたり
悪口を言ったりすると、とたんに地域一旦に広まり信頼を失います。
なので、とにかく噂話を聞いたとしてもそれを他言しないこと。
またご近所さん同士のトラブルがあった場合も、どちらかの肩を持つようなことや
同調は決してせず、愚痴を言われても話を伺う程度にしておきましょう。
②人様の家庭事情に首を突っ込み過ぎないこと
本家と分家間のトラブルをしばしば相談されることがありますが、
一度間をとりもつと、それが定着してしまい、頻繁に呼び出しをくらったり、
鬼電がかかってきたりで、本業に支障がでてしまったことがあります。
また、親子関係がうまくいかずギクシャクし、両方から悩みを聞くこともあります。
しかし、どういった背景があるにしろ、相談してくる方々はいつでも本気で
私たちがポロっと言ったアドバイスを真に受けてしまいます。
その結果、余計に関係が悪化してしまえば、責任は負いきれません。
そうならないためにも、お悩みを聞くことも大事ですが、ある程度の距離感が
大切です。
③花道・茶道のスキルはできるだけ身に付けること(嫁いでからでもいいので)
この点について一番気になってる方が多いのではないでしょうか?
やはりこの二つのスキルは持っているに越したことはないです。
(私は嫁ぐまで全くのど素人でしたが)
まずお花ですが、年中お花を仏壇の花瓶に生けるところから、
玄関先の飾りやトイレの中のインテリアなど、とにかくお花を触る機会が多いです。
そして檀家さんの中で花道を習われていた方などは、誰よりも
そのようなところに目がいくものです。
またお茶に関しても、由緒あるお宅へ行くとお抹茶とお菓子を出してくださることが
あったり、逆にお客様をおもてなしする時にお抹茶とお菓子をお出しすることも
よくあります。
ご自身が恥をかいてもいいのであれば、習得しなくてもよいですが、
嫁いでから数十年間多くの方に見られ続けられるのであれば、
早めに習得しておくことをオススメします。
私も育児休暇中に気晴らしで習いに行きました。
以上のことから、どれも難しいことはありません。
ちょっとした意識をしておけばいいのです。
分け隔てなく平等に接してくれるお寺こそ、地域の皆さんや檀家さんに好かれるのでは
ないでしょうか。