えぇ、寺に嫁ぎましたけど何か?

実家も寺、嫁ぎ先も寺。そんな寺っ娘のボヤキです。

寺に嫁いだメリット・デメリット

もし、お寺に嫁ぐことを悩んでいる方がいらっしゃれば、やはり気になるのはコレ!

ご結婚相手にも聞きにくいでしょうし、いまいちピンッときませんよね。

結婚後に『こんなはずではなかった!』とならないよう、予め知っておくと安心です。

 

もちろん、嫁ぎ先の宗派や檀家数、あるいは地域性によっても異なります。

私の実家と嫁ぎ先も全然違います。

なので、今回はあくまでも私の嫁ぎ先の場合を挙げていきます。

 

1. 一般家庭と比べて気づいたメリットとは?

①広大な土地や建物が手に入る

→正確には、土地や建物の大部分が宗教法人の所有物であることが多いため、私有地以外は個人で好き勝手にいじること(土地の売却や増築等)はできません。ただ、境内ではキャッチボールや鬼ごっこ、自転車の練習ができたり、座敷ではお茶会や子供の遊び場として自由に使うことができます。子育ての環境には最高です。

②食べ物に困ることがない

→お住いの地域によりますが、私の嫁ぎ先は田んぼや畑に囲まれているため、年中美味しいお米と旬のお野菜を頂きます。(例:夏の場合、1日にキュウリ10本/冬の場合、1日に白菜2玉など。)また法事の引き出物で、果物や調味料類を頂きます。そのため、購入する必要があるものとすれば、足りない調味料やお肉・魚といった生鮮食品くらいです。つまり、一般家庭より間違いなく食費が浮きます。

③定年退職がないので、年金生活にビビらなくてよい

→退職する年齢や時期は全く決まりがないので、個々人で定めることができます。そのため、命が続く限り僧侶を続ける方もいれば、第二の人生を楽しむために早く住職を引退する方もいらっしゃいます。我が家では、義父は還暦を過ぎてますが、まだまだ10年近くは稼ぎ頭として頑張ってくれるそうなので、しっかり孫に貢いで頂こうと思っています。

④時間に融通が利くので、平日に買い物や病院に行ける

→寺業は忙しいイメージをよく持たれますが、予め決められているスケジュール以外は完全にフリーです。(例:お参りが8時〜8時半、9時〜9時半、11時〜11時半、19時〜19時半と決まっていれば、それ以外の時間は自由)そのため、義母の場合は、比較的時間に余裕のある時間にジムへ通ったり、雨の日は決まって美容院へふらっと行ったりと会社員では不可能な時間の過ごし方をしています。

⑤幅広い人脈ができる

 →多くの老若男女の檀家さんとまずは出会います。そして寺業を通じて知名度が上がれば、県内外からも法話など仕事のオファーを頂くことがあり、全国に寺のネットワークができていきます。また、著名人と知り合えることもあり、講演会や音楽祭などを開催するといった場合もあります。

 

2. 日頃からつくづく思うデメリットとは?

 ①贅沢な生活がしにくい

→決して貧乏なわけではありません。しかし、私たちの収入は主に檀家さんからのお布施(気持ちの金額)ですので、派手な生活をしていれば「お金持ちならお布施も少なくていいわよね」「誰のお金で生活できてると思っているの」と捉えられてしまいます。そのため、檀家さんとの関係性を考慮すると、人目につくような贅沢はできなくなります。よく「お坊さんは高級車に乗っている」と言われますがそんなこともなく、お布施に関する悪口を言われても構わないという価値観の持ち主の方だけです。

②長期連休が取りにくい

→我が家の場合、1ヶ月間毎日、命日のお参りの仕事が入っているため、丸1日休みにするということはできません。そもそも定休日がありません。そのため、何か予定をいれたい場合は予め檀家さんに命日のお参り日を変更してもらう必要があります。私は「僧侶にも休日があってもいいのではないか」と思っていますが、義父母は檀家さんに迷惑をかけたくないがため、新婚旅行以来長期休暇を取ったことがないそうです。

③いつも身なりを整えておく必要がある

→お参りの仕事が毎日あるのも理由の一つですが、御墓参りなど急な来客が当たり前です。そのため1日中パジャマで過ごすなんて夢の話で、とにかく朝起きたら身だしなみを整えます。特に夏は涼しい早朝に御墓参りに来る方が多く、7時にインターホンを鳴らされるということがしばしばあります。(一般的には非常識ですが、田舎のため早起きな人が多いということもあります)

④太る

→お供えとしてお菓子を頂くことが多く、おいしそうなお菓子が常に目の前にあるので、我慢できずに食べてしまいます。またお中元やお歳暮も数が多いので、冷蔵庫がパンパンでとにかく早く食べようとしてしまいます。さらに命日のお参りに伺った際にも、お茶とお菓子を頂くので、1日に何回食べているのか分からなくなります。

⑤仕事が掃除で、掃除が仕事

坊守の仕事のメインは、ズバリ”掃除”です。多くの方がお寺に足を運んでくださるので、境内を整えておいたり、本堂の掃除をしたりととにかく綺麗に維持しておかなければなりません。特に、参拝者が自由に使用できる参拝者用トイレは、掃除したくありませんが、一番汚れが目につくので、頻繁に掃除することになります。

 

3. 結論を述べると・・・

『 安定した暮らしができるが、とにかく休みがない!』

これが最大の特徴だと思います。

お寺は定休日がない分、休日は作ろうとしない限りありません。

(自営業の家庭ならありえるかもしれませんが、)

逆に、日中にフリーな時間が多いので、一般的な会社員からすれば

メリハリのない暮らし方に見えるかもしれません。

ただ、このライフスタイルに慣れてしまえば、これはこれでアリだと思います(笑)。

個人的には、いずれ会社を辞めて坊守になった時に、本堂や庭の掃除をサボって

しまいそうなのが怖いです。